なぜ「のり弁」は最強の山メシなのか?





 

誰が山メシなど作っているというのか

山メシが流行っているらしい。
雑誌を開けば山メシの小特集をよく見かける。本屋のアウトドアコーナーに行けば、山メシの関連書籍がたくさん積まれている。ネットで検索すると、山メシを扱ったサイトが多数ヒットする。その界隈で人気のブロガーが書籍を出したという記事も見かけた。
SNSには、アウトドアキュレーションサイトが、山メシのまとめ記事を投稿し、アウトドア雑誌のアカウントは、オススメ山メシのレシピを紹介している。これらを見るに、山メシは確かに流行っていると言えるのだろう。
しかし実際のところはどうなのだろう。実践している人はどのくらいいるのだろう。

私自身や周りの登山者に聞く限り、山で凝った料理を作ったことがある人は驚くほど少ない。多くの登山者は、コンビニで買ったおにぎりやカップ麺やスープなど、昔から主流と言われている食事をとっている。
コンビニで食事を購入するのは手軽で安上がりだからだ。逆に言えば、凝った山メシは準備が面倒だし、材料代もかかる。

山メシなど焼き肉で十分だ

自分や友人以外の他の登山者にしても、手間のかかる料理をしている人は、あまり見かけない。あるいは低山ならば、大きな鍋を持ち込んで鍋パーティーをしている人もいるのだろうか。
しかし先日行った秩父の宝登山でも、キュレーションサイトなどで華々しく紹介されているような料理を作っている人など絶無だった。一人だけ、小さなフライパンで肉を焼く者があった。その男性はわりと年季の入った登山者で、作っている料理はお世辞にも当世風の洒落乙な山メシとは言えなかった。単なる焼肉だった。
私も2、3回山で調理をしたことがある。しかし前述の登山者同様にただ肉を焼いただけだ。それに焼肉のタレをかけて食べた。洒落乙とはいかないが、シンプルに美味かった。他には棒ラーメンぐらいだ。これも昔からある定番といえる。

実際に山メシを作ると、微妙な味になり、微妙な空気が流れる

いったいどこの山に行けば、洒落乙な山メシを作っているランドネ的な登山者がいるのだろう。彼/彼女らは本当に存在しているのか。彼/彼女らは雑誌やネットにだけ存在する幻か。
彼/彼女らは雑誌やネットに記事を書くためだけに、面倒な具材を下拵えし、荷物になるクッキングセットを山に持って行って、調理にいそしんでいるのだろうか。彼/彼女らは「サクラ」なのだろうか。下山後に「もう2度と山メシはこりごり」と思っていたりするのだろうか。

かつて一度だけ、どこかの山で、パンをトーストできる調理器具を使っている、若い男性2人組を見たことがある。2人とも派手な身なりで山歴は短そうだった。現代的山ボーイという感じだった。
彼らは慣れない手つきでバーナーとトースターを使い、ジップロックに入れて持ってきた食パンを焼いていた。焼き上がったトーストに何を塗っていたのかは確認できなかったが、驚くほどシンプルな仕上がりだった。
「山で食べる熱々のトーストは美味い」のだろうか。美味いだろうな。しかし、そんなものわざわざ山で食べたいか? 誰かに供され、感想を言えと言われても「え、あ、ああ、美味いね……」としか言えない気がする。
くだんの山ボーイらも、食して特段の感動を覚えているようには思えなかった。

凝った山メシを作るのは、特殊な人種だけ

彼/彼女らはほんの一握りの特殊な人たちだと思う。
山メシを拵えているのは、雑誌の編集者やライター、山雑誌などで連載を持つような特殊な人たちだけだろう。あるいは、せっせとブログに毎度山メシをアップするような、酔狂な者なのではなかろうか。いずれにしてもごく少数の人たちだ。
一般の登山者がそれを真似したら、先の山ボーイら同様、中途半端なできの山メシができあがるだけである。食してのち、微妙な空気が蔓延するとなると、これはもう山メシなどこしらえるのはやめた方がいい。トースターだってきっとそれなりの値段で購入したに違いない。無駄な出費だ。

 

最強の山メシとは「のり弁」である

山メシ2

ならば山で何を食べれば良いのか。答えは「のり弁」である。
コンビニ弁当の「のり弁」が山岳史上最強といえる。
オーソドックスな、おにぎりとカップ麺のスタイルもいいが、おにぎりだけだと物足りないし、カップ麺はお湯を沸かすのが面倒だ。
「のり弁」ならそんな心配ご無用だ。
「のり弁」は様々な点で優れている。まず価格が安い。400円程度だ。おにぎり2個とカップ麺のセットとほとんど同額だ。
そしておかずが豊富だ。ちくわ揚げ、コロッケ、ウインナー、唐揚げ、フライ、付け合せのパスタ、ご飯、味付きのり。400円なのにどれだけ多彩なんだと、思わず驚嘆してしまう。

そして、味が濃いのも素敵だ。私は普段コンビニ弁当など食べない。栄養的にどうなのかと敬遠してしまう性質だ。塩分やカロリーが気になる。
山では、この高カロリーがむしろ美点だ。山歩きの際のエネルギー源になる。運動には塩分も摂取する必要がある。山では濃い味付けのものが食べたくなるものだ。例えば唐揚げやソースのかかったフライなど、塩辛い食べ物が、下界とは比べものにならないほど美味しく感じる。
何もかも満たせて400円。山に向かう途中のコンビニで簡単に手に入る「のり弁」。最強どころの騒ぎじゃない。

一度、山での食事の際、まわりの登山者を注視してみるといい。すべてを極めしベテランの登山者ほど、「のり弁」を食べている。彼らは知っているのだ。「のり弁」こそが至高の山メシであると。彼らを見たら「あ、あの人、ただ者じゃない」と思うだろう。

もう、こだわりの山メシなどやめよう。アウトドア雑誌で特集される山メシレシピなど欺瞞だ。あんなものは虚構だ。
山では「のり弁」をかっ喰らおう。
まだ山でコンビニの「のり弁」を食べたことがない人は、今週末に早速試そう。「のり弁」こそ最強の山メシであると納得するはずだ。

山メシ3山メシ4




4 件のコメント

  • 確かにコンビニ弁当は利用します。
    が、縦走初日に担ぎ上げるくらいですねぇ。

    バーナーの性能が向上しているので、お湯を沸かすくらいストレスに感じません。
    むしろ、日帰りでそこまでストイックに攻められないというか。。。

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